インフルエンザが流行する季節が近づいてきており、当院でもインフルエンザの予防接種が始まっています。
今回は1回のみの内服で治療可能なインフルエンザ治療薬をご紹介します。
2018年3月14日に薬価収載されました。
このお薬は従来のインフルエンザのお薬と異なった作用機序で1回の内服のみで治療可能という利便性を達成しており、今後インフルエンザの治療において中心的役割を担っていくと考えられます。
従来の治療薬は内服薬、吸入薬、点滴薬と色々ありましたが、いずれもノイラミニダーゼ阻害薬といって、ウイルスが人体の細胞内で増殖した後に細胞外から出ていけなくする治療薬でしたが、今回承認された新薬はキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬といってウイルスの増殖自体を抑制するお薬となります。
効果は従来のノイラミニダーゼ阻害薬と比べて同等かそれ以上です。
インフルエンザにかかっている期間と解熱するまでにかかる時間とはほぼ同等で、インフルエンザの菌を排出する時間は有意に短くなっています。
インフルエンザにかかっている期間は約80時間が54時間くらいになり、発熱している時間は24時間くらいになります。
インフルエンザの菌を排出する期間はタミフルが72時間程度に比べて、新薬は24時間と大幅に短くなっています。
副作用については精神・神経症状と肝障害が記載されています。
精神・神経症状については臨床治験中には確認されなかったようですが、因果関係は不明ですが元々インフルエンザで見られることから記載が残ったようです。
従来の内服薬の副作用ではないかと社会現象になったことをご存知の方も多いのではないでしょうか。従来の内服薬は一時は小児への投与が制限されましたが、現在では因果関係不明として制限が解除されています。
肝障害についてもプラセボと有意な差はなかったようですが、お薬が肝臓で代謝されることから可能性として残ったようです。
平たく言えば、通常使用されるお薬と比べて副作用を大きく心配する必要があるお薬ではないと言えるかと思います。
ここで現在使用できるインフルエンザのお薬をまとめておきます。
■従来の吸入薬①
投与方法:吸入
使用回数:1日2回を5日間
■従来の内服薬
投与方法:内服
使用回数:1日2回を5日間
■従来の吸入薬②
投与方法:吸入
使用回数:1日1回(2吸入)
■従来の点滴薬
投与方法:点滴
使用回数:1回
■新薬
投与方法:内服
使用回数:1回
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